No.5

やましさと、いとしさ


Twitter再録

「……ッ」
「動かないでくださいね、あなたの鱗は大振りで硬いんですから」
「わかってます……」

寝る前に恒例となった、ズオさんの尻尾への保湿クリーム塗布。
乾燥した気候の玉門では当たり前の習慣だったようで、その必要がない今でも塗るのだと。

いつしか、塗るのは僕の役目になっていた。
それだけ彼が心を許してくれているのは嬉しいけれど、最近は別の悩みも芽生えてしまった。
……声が、僕の劣情を煽る。すごく。

「小禾……あの」
「……手早く終わらせますから」

硬い鱗は手強い。
いくら慣れていても、うっかり手を滑らせようものなら、掌は確実にズタズタになる。

「……付け根、いきますよ」
「は……はい……」

そう声を掛けると、ズオさんは何処か期待した目で僅かに震えた。
先端部よりも遥かに「感じやすい」場所にしてしまったのが、いけなかった。
……僕も、理性の堪えどころ。

「ぁ……」
「そうです、そのまま大人しく……」
「あっ、あ……そこ……」
「後でちゃんと付き合いますから!今は暴れないで下さい!」

理性がじわじわと削られていく。
何とか塗り終わると、すぐにサイドボードに蓋をしたクリームを放る。

「しゃお、ほ……はやく……」
「……段々、我慢が効かなくなってきていませんか?」

……もっとも、僕にも当てはまることなのだけれど。

アクナ,禾烛禾SS,