No.4

よばれてみたい


Twitter再録

「一度あなたに呼ばれてみたいって、思っていたんです」
「はい……?」
「クルースさんやウユウさんに『お姉さん』『お兄さん』付けで呼んでいるのに」
「そ、それは……!」
「……ならどうして、大荒城に来た当初は呼んでくれなかったんですか?」

シャオホーは、悪戯を考えた子供のように嬉しげに笑っている。
……こういう時の彼は、小満よりも妙に子供っぽい。

「……察していましたから。なんとなく」
「そうなんですか?」
「ええ」
「……それなら、今ここで僕はあなたに呼ばれたいです」

私はいつものように彼のスイッチを入れてしまったらしい。
一度入ると、妙に強情になってしまう。
……それが私に対してだけであって欲しいのは、利己的な欲。

「……駄目ですか?小乐(・・)
「貴方って人は……!」

反論しながらも、心の何処かでは楽しかった。

「ッ……『小禾お兄さん』……」
「……嬉しいです。ですがとても惜しいです、矛盾してますから」
「あ……」
「なら、もう一度ですね?」

己の浅慮を恥じた。
ああもう、どうとでもなればいい。彼相手なら何だって。

「……禾生、お兄さん……」
「……可愛いです、ズオさん、本当に、可愛いです……」
「ま……待って下さい、小禾……!」

抱き締められて、頬擦りされる。
こんなに甘えられるのであれば……たまに言うのも悪くないかもしれない。

アクナ,禾烛禾SS,