No.1

あなたのかおり

Twitter再録

ふわりと彼から薫るその匂いが、最初は嫌いだった。

先生に引き合わされた当初は「高官の息子が視察の真似事をしに来た」くらいにしか思っていなかったし、当時の彼は失敗ばかりだった。
そういう身分特有の「余裕」が感じられて、嫌悪感を覚えていた。

だけど今はどうだろう。
ふとしたことで彼の纏う匂いを追うようになり、最近は捉えられないと「寂しい」とすら思うようになり。

「上品で、澄んでいて……」

彼の匂いを、ふと考える。
特徴を上げてみて、そして。

「……全部、ズオさんらしい」

考えているうちに、彼が恋しくなった。
僕は彼が居そうな場所に検討をつけ、薫っているのを願いながら歩き出した。

アクナ,禾烛禾SS,